💓神聖な心の旅路 遠い日彼をあきらめた日

 

 

私は彼にあげた人生で初めて書いたラブレターの事を、すっかり忘れてしまっていました。どうしてこんな大切な事を忘れたのか、自分でも不思議に思っていました。

振り返ってみると、私は高校3年の秋の、文化祭での出来事を思い出したのです。

2日続けて行われた文化祭で、私の高校は、かなりの訪問者でごった返していました。

2日目の日曜日のことです。

私は校舎の中で、クラスメイトのK子ちゃんに会いました。K子ちゃんがこう言ったのです。「たった今、外の池の前で、男子学生に話かけられたのだけど、その人の話を聞いていると、私の事を知っているような話しぶりだけど、私はその男子学生を知らないの、それでね、もしかしたら貴方と私を間違えて話かけたのじゃないかしら?」と言うのです。「その人の名前は?」「あら。名前は言ってなかったと思うけど、今いる高校は○○大付属○○高校とか言っていたけど。心当たりあるの?うちの中学からこの学校に進学した人はいないと思って。あなたと私を間違えたんじゃないかしら?今行けば、まだ会えるかもしれないわよ。」と言われて、「ありがとう」という言葉を言いながら、すでに走りだしたような気がします。K子ちゃんと私は、英語の先生にも間違えられていて、「似ている」と言われることが多かったのです。

私は校庭にでて、まずは、校門に走っていきました。そして校門から帰る人達の中に、彼はいないか、見ていました。それからそれから、あちこち見て周ったのですが、私の部活の演奏時間が迫ったために、あきらめて楽器を手にして集合場所へと向かったのです。

その日私は、彼に合う事が叶いませんでした。そして私は彼とは縁がなかったと、わかったのです。そして私は大泣きしたのでした。

これで、私の初恋は終わりを自覚させ、私は初恋のドアをきっちりと閉めたのです。

 

 私がなぜ、ラブレターの事を忘れてしまったのかは、本当のところはわかりません。こんな大切な思い出を、忘れるかしら。と不思議な気持ちでした。

そして、いつだったか私は誰かに「あなたの事は忘れません」という言葉を綴った手紙を書いたような記憶があり、それを誰に書いたのかも、忘れていてどうしても思い出すことが出来なかった事もありました。

私の初恋はこうして終わりを告げて、私はまた人生を歩きだしていたのでした。

 

その後、数十年ぶりに彼と同窓会をきっかけに再会しましたが、私が気になっていた文化祭の出来事を、それとなく彼に聞いたのです。彼は私の高校の文化祭には来ていないと思うとはっきりと言ったのです。(笑)

長いあいだ私は、てっきりその時の男子学生は彼だと思っていました。そして進学した学校も後から聞いて県立の男子校だったのです。

K子ちゃんに話かけた男子学生は一体誰だったのでしょう。もしかしたら、K子ちゃんは私と似ていると言われていましたが、K子ちゃんは都会育ちで私とは雰囲気も違うので、話しかけられたのであって、私と間違えたのではなかったのでしょう。

 

遠い日の思い出は私の記憶を呼び起こしてくれました。

すべて、懐かしい思い出へと変わっていました。

 

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